フランス人男性の性格:いつ相手にコミットするか?

フランス語で付き合い始める、デートすると言うことをsortir avec と言います。これをフラットに訳せば「誰かと一緒に外出する」となります。文字通り一緒に外出し、映画に行ったり、レストランに行ったりということです。

この段階ではまだ知り合って間もないカップルがお互いを知るための時間です。フランス人はこの初期の段階についてデートをする、などと特別な表現を使いません。彼らは軽い気持ちで一緒に外出をするのでしょう。

その後お互いをよく知るようになると、相手の家に泊まる, 一緒に週末を送る、一緒にヴァカンスへ行くなどの関係に発展します。

フランス人男性は時間をかけて相手を観察したりしません。彼らは独特の臭覚とノリで気に入った異性がいたら即座にアプローチすることも多いでしょう。フランスでは恋愛は日本以上に日常的な出来事です。

だからと言って必ずしもフランス人男性の性格が軽い訳ではありません。彼らは恋愛においては現実主義、経験主義を採用しているのです。別れた相手を10年思い続けている、と言う日本女性に会ったことがありますが、フランス人は恋愛においては思い出、妄想に浸ることなく実践を重視します。

見切り発車のようにとりあえず付き合いだしてから、じっくりと時間をかけて相手を見極めてから相手にコミットするかしないかの結論を出します。そしてこのような状態が?年も続くこともあり得るのです。

一生懸命「生涯の女性」(femme de la vie)を探しているという意味では、ドンファンタイプを除いた一般のフランス人男性の性格は殊の外生真面目でもあるのです。

ここではフランス人男性がどのようなプロセスを経て一人の相手にコミットしていくのかについて見ていきます。

フランス人男性との恋愛の始まりは「青天の霹靂」?

フランス人の性格としてノリが大切です。

私の周りにも地下鉄や電車で出会って付き合い始めた、アパートの踊り場で出会った、近所のレストランで話し込んで付き合うようになった、など全く知らない人同士が偶然とノリで付き合い始めたカップルも珍しくありません。

ラテン系民族的性格を持ったフランス男性は情熱的で感情の赴くままに行動するところがあります。恋愛が始まる時点で先のことまで考えていません。

ケ・セラ・セラと言う感じで、今を楽しみます。そしてその瞬間瞬間の連続が人生を作っていくと考えています。

一定の社会階層以上のフランス人男性は小さい頃からの社交を通じた人との関わり方を通じて、女性の心のくすぐり方、恋愛作法を体得しています。例外を除けばフランス人男性は自分の好みの外見の女性に出会ったら積極的に相手の女性に興味、関心を示します。

突如「君は綺麗だ」「あなたのことが好きだ」と言われてしまうと、やんわりお互いの意思を確認してから付き合いに移行することを想定している日本人女性は驚くかもしれません。「えーまだあなたのことをそんなに知らないのに」と思うこともあるかもしれません。

フランスでは恋愛は晴天の霹靂のようにやってきます。最初の段階でお互い情熱を感じれば、そのまま勢いで付き合い始めたなんてこともあるでしょう。

日本人女性の中には「いや」と言いつつ焦らして相手の関心を引いて、それで付き合う方向に持っていこうとするのが女性の嗜みと考えている人がいます。このようなやり方はフランス人男性には通じません。「嫌だ」と言われれば言葉通りに捉えられて断られたとなります。

フランスでは女性も、その恋愛の波に乗るか乗らないかのタイミングを見極めるためのある種の反射神経を要求されます。このノリの実態は情熱です。

フランス的恋愛を始める際にはある種のリスクが伴います。ヴァケーション先で出会ってその時は大いに盛り上がったけれどもその後全く音沙汰がないということもあり得ます。それでもスイートな思い出は残ります。

これはある日本人女性の話です。彼女は日本でフランス人男性と出会って、自分では付き合っている、と思っていました。二人は東京に住んいましたが、東関東大震災後、彼からの連絡が途絶えました。

ある日彼のフェイスブックを見たところ、彼は彼女に何も告げずに、すでにフランスに戻っていたと知って大変に驚いたそうです。その後もなんの音沙汰もなかったと言うことでした。

その日本人の女性は、ボーイフレンドのフランス人男性の変わり身の速さにあっけに取られ、悲しむ気すら起こらなかったそうです。この場合、震災が起こったために二人の関係が例外な形で試されそして思いの外早く一方的に結論が引き出されてしまいました。

フランス人はいつ愛から結婚へいつ移行するの?

ではフランス人男性とカップルとして一通りの経験をした後、いつその恋愛のトンネルから抜け出て相手にコミットするのでしょうか。もちろんコミットまでの期間というのは、個々のカップルによって異なります。

私の知っているフランス人男性で、1週間フィリピンへ旅行に出かけて、そこで結婚を決めて、1週間後には彼女とともに本国へ戻ったという人を知っています。これはノリの良さが結婚にまで発展した稀な一例です。

しかしこのようなパターンは例外的です。比較的軽い気持ちで付き合い始めるフランス人男性ですが、相手にコミットして結婚を決めるときには日本人同様慎重になるからです。

フランスにはもう何年も同棲しているのに結婚していないフランス人のカップルが結構います。一方日本人女性と付き合うフランス人男性はある程度付き合った後結婚する傾向があるようです。

なかなか結婚しない慎重な性格のフランス人男性も、日本人女性のパートナーにコミットするとなると日本の文化を受け入れることが多いようです。日本に住んでいるフランス人同士のカップルですら本国に比べて婚姻率が高いと聞いたことがあります。

恋愛というトンネルに入ってから相手が自分にコミットするまでの状況というのは、多くの女性にとって不安な状況であることに間違いありません。

ちなみにフランス語ではJe t’aimeとJe t’aime bienは大きく意味が異なります。前者は I love you で 後者は I like you です。フランス人男性はJe t’aime bien と気軽に言うでしょうが、なかなかJe t’aimeとは簡単に言いません。そんなところにも彼らの性格が現れます。

フランスでは全てを言葉にすることで初めて意思疎通が成立すると考えます。毎朝夫婦でJe t’aime (愛している)と言うのもフランスには全てを言語化してこそコミュニケーションが成立するという前提があるからです。

言葉によって全てを伝えることはできないと考える日本人にとってフランス人の全てを言葉にするという性格は重たく感じることもあるでしょう。でもそれは便利な性格でもあります。

「愛している」「今日は素敵よ」などと伝えるのは日本人にはいささか歯が浮いてしまいます。でも「掃除を手伝ってくれないか」「野菜を切ってくれないか」なども気軽に言葉で尋ねることができるからです。

付き合っているフランス人男性の性格を知る上で色々家事について言葉でリクエストしてみるというのは以外に重要なことかもしれません。フランス人男性の中には日本人女性が家事や育児を全面的にするという噂を聞きつけてそれを利用しようとする性格の輩もいます。

そのような期待を持っておらずあなたのことを愛する純粋な性格のフランス人男性なら家事も気軽に手伝ってくれることでしょう。

日常生活をフランス人男性とシェアして日本では言わないようなことも言語化して相手に伝える習慣ができると、少しづつ言葉で気持ちを伝えることの醍醐味を理解していきます。自分の気持ちを言葉で表現するという態度にはある種の開放感があるからです.。

その際他の人と考えが違うなどと心配する必要はありません。フランスであなたが他の人と違う考えを言えば興味を持って耳を傾けてもらえるでしょう。

言葉で自分の思っていることをはっきり表現すれことによって,受け身な状態から脱出して, 自分が主体的に相手との関係を生きているという実感も生まれます。フランス人が自立して自由な性格なのは彼らが言葉を頼りに生きているからです。

あなたの希望を全く聞かずに一方的に決めてしまうようなフランス人男性は、最初こそ頼もしい性格のように見えますが,どこか一方的な性格の男性かもしれません。

フランスではパートナーの意向を言葉で確かめあってパートナーシップを深めていきます。

いちいち「あなたはどこへ行きたいか?」「何をしたいか」「あなたがいいのならこうするが・・・」など聞いてくるかもしれません。

二人で話し合って決めると一人で決めるよりも時間もかかるし意見が対立することもあります。しかしながらこのプロセスを経て相手のことをよりよく知ることとなりパートナーシップへと近づいていくのです。

男性が女性をリードするという前提に慣れている日本女性にとっては「そんなことをこちらに聞かないでそちらで決めて動いてくれたらいいのに」と思うこともあるかもしれません。しかしそうした以心伝心の関係はフランス人男性との間には成り立ちません。フランス人男性の性格としてこちらが言葉にしない限りこちらの欲望も理解しません。

それなら日本人女性も性格を変えてはっきりこちらの欲望を表現してしまえばいいのです。恥ずかしいと言っている場合ではありません。

ある程度の期間付き合ってもなかなかコミットしてくれないフランス人男性もいます。それは慎重な性格の現れで今だに長期的パートナーシップを築くかどうか見定めている可能性があります。

しかしこちらはこれ以上待てないという時には「あなたはこの関係にコミットする意思があるのか」とはっきりと相手に聞く必要があります。相手にはっきりとコミットもしくは結婚の意思があるのか尋ね、そうでない場合にはその相手と潔く別れる覚悟も必要です。

そのような時相手もこちらの気持ちを察して考えることでしょう。恋人を失うことを恐れてコミットしてくるかもしれません。この辺は男女の駆け引きです。

フランス人男性と恋愛するときはある種の潔さが大切です。晴天の霹靂で始まった恋愛は同じように晴天の霹靂で終わることもあります。フランス人男性は日本人のように情があるからと言ってズルズル関係を続けることはありません。

フランス人男性と孤独

女性は待つ側で男性が決心する側、というのは日本もフランスも同じです。どちらの国でも、恋愛から結婚へのお試し期間をどうやって早く終わらせ、相手にコミットさせるかと言うシチュエーションにおいて女性としての力量を試されます。

同時にそこには男性と女性の孤独に対する耐性の違いがあると言うことも理解しておく必要があります。

日本では一般的に女性は一人でいられるけど男性の性格として一人でいられないというイメージがあります。

離婚後日本人女性はそのまま長く一人でいても、日本人男性は再婚する傾向があります。また退職したご主人と一緒に毎日を過ごすのが嫌な日本人女性は離婚を提案することがあります。

一般に生活者として自立できていない日本人男性は一人で生きていけないので家事をしてくれる女性との共同生活を求めます。それが日本人女性の方が日本人男性よりも孤独に強いと言うイメージの実情ではないでしょうか。

フランスではその逆で、フランス人男性の方がフランス人女性よりも孤独を好む性格と言われています。

日本では最近お金を支払って、その時間内において、友人、話し相手担ってもらう、というビジネスがスタートしました。これはフランスで大きなニュース、話題となりました。

孤独への耐性があるフランス人にとってこのようなビジネスが成り立つことは驚きでした。また彼らは日本人が孤独に弱い寂しがり屋の民族であると感じました。

ではカップル社会として知られるフランスでおひとりさまの割合はどのぐらいなのでしょうか。15歳以上のフランス人の、十人に一人がおひとりさまと答えています。おひとりさまとは、ほとんど出会いがない状態、家族、友達、近隣、同僚などのみじかな人たちとの繋がりのない人のことです。最もおひとりさまになりやすいのは、失業者、退職者、低所得者です。

ヨーロッパ全体で見るとスエーデン、デンマーク、ノルウェーなどの北欧の国々においては、おひとりさまの割合が10パーセント未満となります。これらの国では社会福祉制度が発達しているため人々がカップルとして生きていきやすい社会、経済的条件が整っているということでしょう。

フランスの例に戻っておひとりさまの内訳を見ると、男性が52パーセント、女性が48パーセントで、フランス人男性の方が一人で暮らす割合が女性よりも高くなっています。また40歳以上のフランス人男性の中で、おひとりさまの割合は66パーセントにもなります。

おひとりさまとは別に、物理的には周囲に人がいたりパートナーがいたりしても、孤独を感じる性格の人もいます。この割合はフランス人男性では45パーセントですが、フランス人女性ではそれより10パーセントも高く55パーセントに上ります。彼女たちは、家族、恋人がいても常に寂しさを感じいます。そしてこれらの女性の半数以上が40歳未満です。若いフランス人女性は寂しがりやな性格でなかなか一人でいることができません。

フランス人女性と比較した場合、フランス人男性が相対的に孤独に強い性格を持っていると言えます。一人でいるのが苦ではない,と言う人もいれば積極的に一人でいたほうが良い、一人でいたい、というフランス人男性もいます。

フランス人男性は生活者として自立しているため,そのことも彼らが孤独を楽しむことを助長していると言えます。

このようにフランス人男性が孤独に強い個人主義的性格を持っていることも、彼らが女性よりも相手にコミットするのに時間がかかる理由となりえます。

さいごに

寂しがりやの性格のフランス人女性からすれば、ずっと付き合ってお互い幸せなのになぜ相手のフランス人男性はコミットしてくれないのだろうかと思うでしょう。ではなぜフランス人男性は彼女にコミットすることを躊躇するのでしょうか。

まだ心情的にコミットする用意ができていないと言う理由もあり得ます。その場合は言葉を尽くしてお互いを理解し関係を深めていく努力が必要です。

それ以外の理由もありそうです。その一つがフランス人男性が比較的孤独に強い性格だということです。

フランス人男性は生活者として自立しており,フランス人女性以上に孤独への耐性を身につけています。フランス人男性が寡黙だったり自分の話をしないのは相手に関心がないのではなく男女の性格が異なるからです。

その時相手との距離を縮めていきたい女性としては、相手を惹きつける様々な態度で愛情を示していく必要があります。そしてフランスではコミットをした後も相手に対する努力をその関係が続く限り続けていかなくてはなりません。

日本の既婚カップルは「温泉に一緒に浸かっている状態」に例えられます。彼らは揺るぎない信頼関係のもとほっとできる温泉にいるような状態です。それはとても楽ちんな状態です。

フランス人男性と結婚したら温泉にゆったり浸かっているような状態ではありません。しかし相手との間で愛の儀式を毎日手抜かりなく行うことによって,年齢を経てさらに愛が深まるとともに性的存在としても成熟していくでしょう。