フランス人男性を魅惑するメークとおしゃれ:最初のデート

「女性は何よりも男性の気を惹くようなセクシーさを常々持っていなくてはならないのよ。私の服はそういう男性心をくすぐる女性(coquette)のためにあるのよ。いつ街を歩いていて素敵な男性に出会うかわからないんだから。」

これは1970年代にシャネルがインタビューで語った言葉ですが、この言葉は現在のフランスでも全く色あせていません。

今日のフランス人女性は仕事と恋愛をうまく棲み分けています。仕事ができる有能なフランス人女性でも、一旦プライベートとなると自分を女性らしい、セクシーな女性として演出します。忙しいフランス人女性はおしゃれにも気を使っています。

ここではフランス人男性と最初のデートに出かけるに当たって、相手の男性に強い印象を与えるために、フランス人女性がどんなおしゃれを心がけかについて、メーク、洋服、トータルの視点から紹介します。

最初のデートは相手を知る時ではなく、魅惑する時

あなたは自分が気に入った男性に出会いました。そして相手もあなたのことを気に入ってくれ、あなたに最初のデートを申しこんでくれました。あなたは内心大喜びです。

日本でもフランスでも最初のデートは自分の女性としてのイメージを相手に印象付けるとても重要な段階です。まだお互いのことをよく知りはしないけど、今後「あなたについて知りたい」と相手のフランス人男性に強く思ってもらうために, フランス人女性は最初のデートに向けておしゃれに苦心します。

第一回目のデートで最も重要なのは言葉ではなく、全体的な雰囲気です。もちろん会話も重要ですが、相手の男性に次も会いたいと思ってもらわなくてはなりません。もちろんコミュニケーションやデートは重要です。でもそれらと同じぐらい重要なのはおしゃれをして外見を整えることです。

最初のデートの目的は、相手をよく知ることではなく、相手を魅惑すること、そしてお互いを男性女性としてお互いを意識して楽しい時間を送ることです。そのためにおしゃれは欠かせません。

フランス風メイクの心得

おしゃれという言葉から最初に頭に浮かぶのがメークです。現在20代前後の若い日本の女性たちは、ちょっとそこまでコンビニに行く時でさえもメークをしなければいけないと考えています。それほど日本の若い女性にとってメークは必要不可欠です。

日本の若い女の子たちはフルメークを心がけます。つまり一箇所、二箇所、口紅やアイシャドーだけではなく、ファンデーションから白粉、アイメーク、アイライン、チーク、口紅全てです。

それで電車の中でもメークをすることが社会問題化したりもしています。20歳前後の女の子が素肌が想像できないほどのメークをしています。そんな女の子がいざデートとなると、相手の男性にいつ素顔を見せるのかというのが大きな問題になります。ネットなどで公開されていますが、メークとすっぴんの顔が全然違う女の子もいます。

このような日本の状況を見るにつけ、フランスの同年代の女の子のメーク事情との違いに驚かされます。フランスではメークとすっぴんがそこまで違うメークというのは、少なくとも普通の生活を送る20歳前後のフランス人の女の子にとっては考えられません。

フランスではフルメークは流行りません。自分の自然な魅力が引き立つような、引き算のメークが主流です。ではフランス人の考える嗜みとしてのメークとはどんなものでしょうか。

正しいメークをすることによって出会いのチャンスも増えるし、自分が惹きつけたい男性に対しても効力を発揮する。こう考えているのは、フランス人女性も日本人女性も同じです。

フランスでは日常生活では簡単なメークをするだけで、メークをやりすぎてしまわないことにこそ注意を払います。毎日朝からマスカラをつけ、派手な口紅をつけまくったりするのはやりすぎです。

フランス人男性を魅了するためには自然さとメークをうまく組み合わせて、自分を素敵に演出する必要があります。フランス女性は個性を大切にしますが、その中でいくつかのフレンチメークの傾向があります。

まずはシンプルで目立たないナチュラルメークを心がけること。そして自分の顔のチャームポイントを引き出すメークをする必要があります。

自分の目に自信があるのだったらアイメークを強調します。その際に目とシャドーの色を同じ色で揃えるのではなく、シャドーは目と対照的な色を選ぶと目がより引き立ちます。

そして最初のデートですからシャドーは暖かい色合いを醸し出す配色が必要です。そのためには茶色や黒の瞳にはグレーか青が似つかわしいと考えます。またシャドーと洋服の色も違う色にすることを忘れてはいけません。

最初に自分の欠点をカバーしましょう。シワ、シミなどは目立たないようにコンシーラーをつけます。そしてファンデーションではなく白粉で薄めの化粧を心がけます。この時筆を使うことがポイントです。そしてチークを施します。

こうするだけで顔色が良くなり、欠点が目立たなくなります。反対にメークをやりすぎると、俗っぽさ、品のなさが表現されてしまいます。

フランス人女性は目と口に同時にメークをしないほうがいいと考えています。セクシーな口元を強調したいときには口紅以上に強い色のリップペンシルで唇を囲わないように注意します。

もしアイメイクを強調するなら、唇はシンプルなグロスだけで十分です。最初のデートには、特にメークをやりすぎないように注意します。

フランス人男性に好感を持たれる外見

最初のデートがどこで何をするにしても、日本の若い女性はとにかくフルメークを施すでしょう。しかしフランスではそこまでメークに力を入れることはありません。

フランス人にとって何よりも大切なことは、自分自身をさりげなく見せることだからです。厚化粧をしてしまったら、この目標を達成することはできません。

女性はメークで綺麗になれると思いメークにばかり気を取られがちですが、男性にとって一番重要なことは全体として見たときのその女性の見栄え、外見です。個々のパーツではなく、自分の全体像を見ながら化粧の仕方を考えるべきです。

デートする相手の気を惹くためだけにメークをするのではありません。化粧はあなたの個性を光らせ、あなた自身が魅了した男性にも楽しい気持ちになってもらうための自己演出の手段です。

メークに加えて、あなたの装いも重要です。最初のデートで良い印象を与えるためにどんな格好がいいか、相手のリアクションも想像しながら、注意深く考えて見てください。ちなみにそれはあなたが彼に会う場所、その日デートで何をするかにもよります。

最初のデートは、カフェ、公園の散歩、街を練り歩くなどの日常的な場所かもしれません。その場合自分自身が居心地いいと感じる服装を選ぶ必要があります。どんな洋服を選ぶかが勝負所と考え、自分で自分にプレッシャーをかける必要はありません。例えば公園へ行くだけなのにデコルテのワンピースと15センチのヒールを履いてしまうと完全にTPOから外れてしまいます。

装いの目的も自分自身の魅力を引き出すことです。そのためにはまず自分の体型に合った洋服を選ぶことです。もし自分の美しいボディーラインをアピールできるようなジーンズを持っているのなら、それを履くことによってあなたはデートの時にも普段と同様に自分に自信を持つことができます。

俗っぽく見えてしまったり、周りの人が思わず吹き出してしまうようなコーデというものがあります。それはやりすぎのおしゃれです。いくらフランスではデートでセクシーな装いが求められると言っても、自分の胸を強調したデコルテのトップスにミニスカートを合わせることは避けるべきです。デコルテならミニスカートをやめ、ミニスカートならデコルテはやめるべきです。

実はこれらのアドバイスは取り立ててデートのためのおしゃれ指南ではありません。毎日の生活を送る上で必要な常識的なおしゃれです。欠点を隠して薄化粧をして、サイズ感がフィットしていて自分が着用して気持ちの良い服を着ることによってこそ、フランス人女性は自分に自信が持てるようになると考えます。

女性はいつでもリラックスしているわけではありません。恥ずかしがり屋で上がってしまったり、間違えてはいけないと思いすぎて肝心のところで失敗してしまったりします。外見(メークと服装)を前持って周到に準備することによって、初デートでの思わぬ失敗を回避して、相手に対して自分自身の魅力を最大限にアピールすることができます。

自分の個性を演出できる服を選ぶ

ここまでフランス風おしゃれの視点から初デートに向けてどのように準備するか説明しました。ここではもう一歩踏み込んで, では初デートの日にどんな洋服を着ることを期待されているのかについて見ていきます。

フランスでは最初にデートを申し込むのは男性と決まっています。男女平等、フェミニズムなどもありますが、男女の恋愛においてフランス流は伝統的です。女性から初デートを誘うというのは、日本以上にフランスではあり得ません。

ではその相手から誘われた初デートに具体的にどのような服を選んで着て行ったら一番セクシーに見えるのでしょうか。そう、フランスではこと恋愛のシーンにおいて、女性はセクシーでいることを求められます。

これまで見てきた通り、セクシーというのは化粧やセクシーな洋服を単に着ることではなく、女性らしく見せるということです。

そして相手に好かれようと無理をするのではなく、自然体でいることも大切です。そのためには自分の個性にあった洋服を選ぶ必要があります。そうでないと借りてきた猫のようで、自分自身がリラックスできないからです。

最初のデートでは必然的にたくさん話をすることになります。相手のことをよく知らないからです。それでもあなたが話す内容と同じぐらい、あなたの外見も重要になります。そのために普段から時々綺麗な洋服を着て外出することを心がけることとこのような特別な機会のための予行演習になります。

初デートで相手のフランス人男性に好印象を与えるリトルブラックドレス

もし本当に初デートに何を着ていいのかわからないときは、そしてそれはTPOにもよりますが、リトルブラックドレスならあなたをセクシーに見せてくれるでしょう。リトルブラックドレスとはもともとフランスで誕生した黒のドレスです。

フランス語でla petite robe noireといいますが、喪のイメージと結びついていた黒のドレスを日常のドレスとして着ることを提案したのはシャネルでした。フランスでは定番中の定番です。リトルブラックドレスはフレンチシックを体現しています。なぜなら流行がなく、シックでセクシーだからです。シンプルでやりすぎになりません。

そしてこのリトルブラックドレスにヒールのある靴と色の濃いストッキングを履きましょう。レストランなどの少しかしこまった場所へ行く予定の時やよりセクシーに装いたいときはストラップレスドレスもいいかもしれません。

初デートの日は大判のトートバックを持たないようにしましょう。それは毎日の仕事や買い物へ行く時に持つものです。目立ちすぎるは良くないのでアクセサリーは最高で三つまでとします。そして自然なメイクを施し、香水を少しつけます。そうすればパーフェクトなルックが完成です。最後にヘア、ハンドケア、脱毛もお忘れなく。

終わりに―見せてしまうのではなく、匂わせること

フレンチシックというのはニュアンスで遊ぶことです。だからネイビー、グレー、ブラックなどのいわゆる地味目の色が主流です。アメリカファッションのように赤、黄色、グリーンなどのカラフルな色を頻繁に使うことはありません。

くれぐれもメークと洋服のやりすぎには注意しましょう。それはフランス流のおしゃれではないし、相手はあなたの外見にばかり目が行ってしまい、あなたが話すことに集中できません。

服装とメーク、そしてトータルルックが重要なのは、これらを整えることによって、女性が自分に自信を持てるようになるからです。おしゃれをすることによって、自分のベターなイメージを演出し、自分で自分をより受け入れられるようになります。その結果自分だけでなく異性も惹きつけることができるようになるのです。

 

 

 

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こんにちは。 フランスやイギリスで10年ほど暮らしました。 現在は東京に住んでいます。 フランスの女性、文化、おしゃれ、ニュースなどの多彩な情報を発信していきます。 どうかよろしくお願いします。